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外国人の子供が日本に在留する場合も在留資格が必要です。とはいえ家族の在留資格や出生の状況などにより、取得できる在留資格は変わります。この記事では外国人の子供、特に「永住者の子供のために永住ビザを申請する方法」を中心に説明していきます。
永住ビザを持つ外国人が子供と一緒に日本で暮らす場合、もしくは日本で子供が生まれた場合、その子供にも在留資格が必要です。とはいえ親が永住者だからといって、子供も無条件で永住者になれるわけではありません。
ここではまず、永住者の子供が取得できる可能性のある在留資格について紹介していきます。
永住者に日本で子供が生まれた場合、その子供は条件付きで「永住者(永住ビザ)」を申請できます。また永住者の子供が日本国外で生まれた場合でも、別の在留資格で1年間日本に在留すれば永住ビザの申請が可能です。
この場合の要件と手続きについては、後ほど説明します。
永住者に日本で子供が生まれたものの、永住ビザの申請ができなかった場合、もしくは申請が認められなかった場合に取得できるのが「永住者の配偶者等(配偶者等ビザ)」の在留資格です。
なお永住者の実子が配偶者等ビザで1年以上日本に滞在した場合は、永住ビザの申請要件を満たします。
永住者が母国に一時帰国するなどして日本国外で出産した場合、その子供が取得できるのは「定住者」の在留資格です。定住者の要件にはさまざまなものがあり、その一つがいわゆる「連れ子のビザ」(告示定住第6号)です。
定住者の要件(告示定住第6号 イ)
日本人、永住者の在留資格をもって在留する者、又は日本国との平和条約に基づき、日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(平成3年法律第71号)に定める特別永住者の扶養を受けて生活するこれらの者の未成年で未婚の実子 |
永住者の子供が定住者ビザを申請する場合、まず在留資格認定証明書を取得してから定住者の在留資格を申請します。なお子供の年齢が高くなるほど(特に18歳を超えると)不許可の可能性が高くなるため注意が必要です。
正確には在留資格ではありませんが、日本の国籍法によると、生まれてきた子供の両親のどちらかが日本国籍を持っている場合はその子供にも日本国籍が与えられます。日本国内で生まれたか、海外で生まれたかは関係ありません。
母親が永住者などの外国人で、父親は子供の出生時に亡くなっていたという場合でも、亡くなった時点で父親が日本国籍を持っていれば子供に日本国籍が与えられます。
国籍法2条(出生による国籍の取得)
子は、次の場合には、日本国民とする。 一 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。 二 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であつたとき。 三 日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍を有しないとき。 |
出生時点で日本国籍を与えられなかった子供も、出生時に日本国籍を持っていた親が認知をすることで「戸籍取得の届出」により日本国籍を取得できます(ただし申請できるのは20歳未満の場合)。
国籍法3条 第1項
父又は母が認知した子で二十歳未満のもの(日本国民であつた者を除く。)は、認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であつた場合において、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。 |
ちなみに認知を受けた子供が20歳以上の場合は、「帰化申請」をすることで日本国籍の取得が可能です。
永住者以外(たとえば就労ビザや留学ビザなど)の外国人が日本で子供を出産した場合、子供は「家族滞在」の在留資格を申請できます。この場合は出生の日から30日以内に「在留資格取得許可申請」が必要ですが、出生日から60日以内に帰国するなら手続きは不要です。
ここからは永住者の子供に永住ビザを取得させるための要件について説明します。
誕生した子供のために永住ビザを申請するには2つのポイントがあります。
一つ目のポイントは「日本国内で出産」していることです。出産のために母国へ里帰り(一時帰国)した場合など、日本国外で出産した場合は永住ビザの申請対象とならないため注意してください。
二つ目のポイントは「出生後30日以内に申請」することです。後で説明しますが、日本で生まれて30日以内に申請したからといって、必ずしも子供に永住ビザが認められるわけではありません。しかしその場合は原則として「永住者の配偶者等(配偶者等ビザ)」の在留資格が与えられるため、永住者の親は子供と一緒に、引き続き日本で暮らすことができます。
一方、手続きを忘れたまま30日が過ぎると原則として永住ビザの申請はできなくなります。この場合はあらためて配偶者等ビザの取得申請が必要です。もし配偶者等ビザも取得できないまま60日を超えるとオーバーステイ状態となり、退去強制の対象になる可能性があります。
出生時に配偶者等ビザを与えられたり、(海外で出生したために)定住者ビザを持っている永住者の子供は、日本で1年以上在留すると永住ビザの申請が可能です。出入国在留管理庁の『永住許可に関するガイドライン(令和元年5月31日改定)』には次のように書かれています。
2 原則10年在留に関する特例
1)日本人、永住者及び特別永住者の配偶者の場合、実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上本邦に在留していること。その実子等の場合は1年以上本邦に継続して在留していること |
1年以上日本に在留するための在留資格は限定されていません。配偶者等ビザや定住者ビザだけでなく、留学生ビザや就労ビザなどでも要件を満たすことが可能です。
出生から30日以内に行う永住ビザの申請手続きについて説明します。
※出入国在留管理庁のサイト『在留資格取得許可申請』も確認してください
申請に必要な書類は次の通りです。
①在留資格取得許可申請書(別記第三十六号様式)
②出生したことを証する書類(出生届出受理証明書、母子手帳など)
③住民票の写し(子供を含めた世帯全員の記載があるもの)
④子供のパスポート(発給されている場合。未発給なら「申請中」や「申請予定」で可)
⑤両親のパスポート(写し)
⑥両親の在留カード(写し)
⑦扶養者の職業を証明するもの(在職証明書など)
⑧扶養者の住民税の課税証明書・納税証明書
⑨質問書(別記第3号様式)
子供の誕生から申請までの手順は次の通りです。
①出生から14日以内に出生届を提出→市区町村役場へ
②母国への出生届・パスポート申請→大使館・領事館へ ※届出の期限は国によって異なります
③出生から30日以内に永住申請→出入国在留管理庁へ
なお出生から60日を超えても在留資格が取得できない場合は「オーバーステイ」となり、退去強制の対象になる可能性があります(やむをえない事情がある場合は「理由書」を提出します)。
申請の標準処理期間は、在留資格の取得の事由が生じた日(出生の日)から60日以内です。ただし即日処理となる可能性もあります。
出生から30日以内に永住申請をしても、子供の永住ビザ申請が認められるかどうかは基本的に親次第です。もし親が退去強制事由に該当する場合や素行に問題がある場合、納税などの公的義務を果たしていない場合は、子供の永住申請が不許可になる可能性が高くなります。
日本で生まれた永住者の子供は、原則として永住ビザか配偶者等ビザを取得できます。一方、子供が永住ビザを取得できるかどうかは、永住者である親の素行にかかっています。子供に永住ビザを無事取得させるためにも、親は十分に気をつけて行動するようにしましょう。
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