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日本では現在、さまざまな行政手続が「オンライン化」されつつあります。出入国在留管理庁で行う「在留申請手続」も例外ではありません。この記事では在留申請手続のオンライン化について、対象となる具体的な手続やオンライン申請の利用方法などについて説明していきます。

在留申請手続のオンライン化について

出入国在留管理庁で行う各種手続は、窓口に直接出向いて行う「アナログな手続」が基本です。しかし国や自治体では行政手続のオンライン化が積極的に進められており、その一環として「在留申請手続」もオンライン化されることとなりました。

オンライン申請のメリット

オンライン申請のメリットは「時間と費用の節約」です。

オンライン申請では、自宅やオフィスのパソコンから直接「申請手続」ができます。しかも24時間いつでもシステムを利用できるため、わざわざ他の予定を調整して窓口に足を運ぶ必要がありません。もちろん交通費も不要です。

なお在留申請手続が完了すると「在留カード」が交付されますが、こちらも希望すれば郵送で受け取ることができます。

 

オンライン申請の開始日

在留申請手続のオンライン申請は2019年7月に開始されました。2020年3月24日からは対象申請手続と在留資格が拡大され、より使い勝手の良い制度となっています。

オンライン申請の対象

残念ながら、すべての在留申請手続と在留資格がオンライン申請の対象になっているわけではありません。対象は段階的に拡大される方針とのことですが、現時点では以下の申請手続と在留資格に限られています。

申請手続

対象となる在留申請手続は、以下の7つです。

 

①在留資格認定証明書交付申請…海外に住んでいる外国人を日本に呼び寄せるための手続き

②在留資格変更許可申請…在留資格を変更する手続き(留学生が就職するケースなど)

③在留期間更新許可申請…在留資格の期限を延長(更新)する手続き

④在留資格取得許可申請…入管法の上陸手順を経ずに日本に在留している人が対象の手続き(日本国内で生まれた外国人の赤ちゃんなど)

⑤就労資格証明書交付申請…申請人が行える「就労活動」を法務大臣に証明してもらう手続き

⑥再入国許可申請…外国人が一時的に日本を離れる際に、再入国の手続きを簡略化する手続き

⑦資格外活動許可申請…留学生などがアルバイトをすることを認めてもらうための手続き

 

なお⑥と⑦は、②〜④と同時に申請する必要があります。

 

在留資格

対象となる在留資格は、入管法の「別表第1」のうち「外交」「短期滞在」を除くものです。具体的には以下の通りです。

  • 公用
  • 教授
  • 芸術
  • 宗教
  • 報道
  • 投資・経営
  • 法律・会計業務
  • 医療
  • 研究
  • 教育
  • 技術
  • 人文知識・国際業務
  • 企業内転勤
  • 興行
  • 技能
  • 技能実習
  • 文化活動
  • 留学
  • 研修
  • 家族滞在
  • 特定活動
 

オンライン申請の手続き

ここでは在留申請手続のオンライン申請を行える「人」と「手続き」について説明します。

申請できる人

在留申請手続のオンライン申請を行えるのは、以下の人たちです。

  • 申請人(外国人)や法定代理人などから依頼を受けた「所属機関の職員」
  • 上記の所属機関から依頼を受けた「弁護士・行政書士」
  • 上記の所属機関から依頼を受けた「公益法人の職員」
  • 上記の所属機関から依頼を受けた「登録支援機関の職員」

注意すべきなのは「申請人(外国人本人)がオンライン申請できるわけではない」という点です。あくまで上に挙げた人たちが、依頼を受けてオンライン申請を行います。

ちなみに「所属機関」については、次のような制限があります。

  • 5年以内に出入国又は労働に関する法律により罰せられていないこと。
  • 過去3年間、外国人を適法に受け入れていること
  • 入管法や労働施策総合推進法において求められている届出を行なっていること
  • 利用申出の承認を受けていない者に不正にIDやパスワードを利用させないこと
  • 1年に1度求められる定期報告(※)を行うこと。

「1年に1度求められる定期報告」とは所属機関が「最寄りの地方出入国在留管理官署」に提出する報告書類のことで、この報告によってオンラインシステムの利用継続が認められます。

 

事前の利用申出が必要

オンライン申請を利用するには、事前に「利用申出」をしてIDの付与を受ける必要があります。この利用申出はオンラインでは行えません。まずは会社や事務所を管轄する「最寄りの地方出入国管理署」に必要書類を持参するか、郵送にて申し込みます。

 

・持参の場合

所属機関の所在地を管轄する地方出入国在留管理官署( 成田空港、羽田空港、中部空港、関西空港支局の4支局と、海岸・空港のみを分担する出張所を除く)

 

・郵送の場合

〒160-0004 東京都新宿区四谷一丁目6番1号 四谷タワー13 階

東京出入国在留管理局在留管理情報部門オンライン申請手続班

 

書類の内容や組織の要件に問題がなければ、およそ1〜2週間後にIDがメールで送られてきます。

 

利用申出に必要な書類

事前の利用申出に必要な書類は、持参するか・郵送するかによって一部異なります。

 

①窓口に持参する場合

  • 在留申請オンラインシステム利用申出書
  • 外国人の所属機関の概要がわかる資料
  • 誓約書
  • 登記事項証明書
  • 所属している外国人リスト
  • 外国人の所属機関から依頼を受けたことが分かる資料(弁護士・行政書士、公益法人職員、登録支援機関職員が申請する場合)

 

②書類を郵送する場合

  • 利用申出人の方に関する確認書類(公的機関が発行した身分証明書など)
  • 在留申請オンラインシステム利用申出書
  • 外国人の所属機関の概要がわかる資料
  • 誓約書
  • 登記事項証明書
  • 所属している外国人リスト
  • 外国人の所属機関から依頼を受けたことが分かる資料(弁護士・行政書士、公益法人職員、登録支援機関職員が申請する場合)
  • 封筒に「在留申請オンラインシステム利用申出書在中」と記載
 

IDの有効期間について

付与されたIDの有効期間は1年間です。継続して利用する場合は「定期報告」を行うことで更新できます。

システムの利用手順

在留申請手続のオンライン申請は専用のオンラインシステム(在留申請オンラインシステム)で行います。オンラインシステムにログインする際は利用申出後に付与されたIDが必要です。

申請手続をするとその場で「受付仮番号」が交付され、翌日(翌開庁日)に正式な「申請受付番号」がメールで通知されます。窓口で申請を行うと在留カードに「申請受付中」のスタンプが押されますが、オンライン申請の「申請受付番号」はこのスタンプの代わりです。

申請の審査状況はオンラインシステム上で随時確認でき、審査が終わると結果がメールで通知されます。

 

利用料金

オンライン申請の利用料金は不要です。ただし申請内容が許可された場合は、それぞれの申請手数料を収入印紙で納付します。

 

  • 在留資格認定証明書の交付:なし
  • 在留資格の変更の許可:4,000円
  • 在留期間の更新の許可:4,000円
  • 在留資格の取得の許可:なし
  • 就労資格証明書の交付:1,200円
  • 再入国の許可(一回限り):3,000円
  • 再入国の許可(数次):6,000円
  • 資格外活動の許可:なし
 

在留カードの受領は窓口か郵送で

新しく発行される在留カードは「最寄りの地方出入国管理署の窓口」か「郵送」で受け取ります(オンラインシステムで申請する際にいずれかを選択)。ただし申請内容によっては郵送を選べないこともあるため、注意が必要です。

 

①窓口で受領できる場合

在留資格認定証明書交付申請「以外」の申請については、在留カードを窓口で受領できます。受け取りの際は申請人のパスポートと現在の在留カード、手数料納付書(手数料分の収入印紙を貼付)、「審査完了に関するお知らせ」メールの写しなどを持参します。

 

②郵送で受領できる場合

基本的にすべての申請で郵送による受領が可能です。郵送先は申請時に記載した以下の住所です。

  • 所属機関の職員が申請:申請人の方の所属機関の所在地
  • 弁護士・行政書士が申請: 弁護士・行政書士の方の所属事務所の所在地
  • 公益法人職員が申請:公益法人の所在地
  • 登録支援機関職員が申請:登録支援機関の所在地

 

受け取りの際は、あらかじめ送付用封筒や手数料納付書(手数料分の収入印紙を貼付)、申請人が現在所持している在留カードや指定書(交付を受けている場合)、特別永住者証明書のコピーやパスポートの身分事項ページのコピーなどを書簡易書留で郵送します。

 

なお以下の場合は郵送を選択できないため、窓口での受け取りとなります。

  • 同時に資格外活動許可申請または再入国許可申請を行った場合
  • 在留カードの交付ではなく、パスポートへの証印により許可を行う場合
  • 在留カードに漢字氏名併記の申出を行う場合
  • 在留カードの有効期間更新申請を伴う場合
 

オンライン申請の注意点

オンライン申請の注意点は、以下の2つです。

①在留申請オンラインシステムは海外のIPアドレスからは利用できません。利用する際は必ず日本国内からアクセスする必要があります。

②在留資格変更許可申請と在留期間更新許可申請は「満了日当日」の受付ができません。万一期限当日になってしまった場合は入管の窓口で申請を行う必要があります。

 

まとめ

今回は在留申請手続のオンライン申請(在留申請オンラインシステム)について説明しました。利用対象や申請できる人などに制限はあるものの、この制度を上手に利用することで、在留申請手続の手間も費用も大幅に節約できます。記事の内容を参考にしながら、ぜひオンラインシステムを活用してみてください。

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代表者プロフィール

富樫 眞一
資格

2003年 技術士(環境部門)登録
2003年 薬学博士号登録

2019年 行政書士登録

2019年 入国管理局申請取次行政書士登録

2020年 特定行政書士登録

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