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日本人や永住者の配偶者や実子は「永住ビザ」を申請する際にいくつかの要件が緩和されます。この記事では、いわゆる配偶者ビザから永住ビザに切り替えるメリットと、具体的な申請要件や手続について説明します。
日本人や日本の永住者と結婚している外国人は、「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等(特別永住者の配偶者等)」という在留資格を取得できます。これらの在留資格(以下、配偶者ビザ)は在留活動が制限されないため、単純労働を含むどのような職業にも就けるのがメリットです。
一方、永住ビザにも在留活動の制限はありません。このため「配偶者ビザから永住ビザにわざわざ切り替える必要ある?」と疑問を持つ方もいることでしょう。
一見似たような特徴を持つ配偶者ビザと永住ビザですが、永住ビザには、配偶者ビザの欠点を補うさまざまなメリットがあります。
一番のメリットは「在留期間が無期限になる」という点です。
配偶者ビザを含め、ほとんどの在留資格には最長で5年の在留期間が設定されています。つまり少なくとも5年に一度は更新手続が必要というわけです。更新手続では毎回「配偶者の戸籍謄本(全部事項証明書)」や「日本での滞在費用を証明する資料」といった書類を用意し、入管窓口で申請を行わなければなりません。こうした手間から解放されるのは大きなメリットといえるでしょう。
とはいえ、永住者は今後一切なんの手続きも必要ない…というわけではありません。観光ビザ以外で日本に在留するすべての外国人には「在留カード」が発行されますが、永住者の場合も「7年に一度」はカードの更新手続をする必要があります。
在留カードと在留カードの更新については『在留カードとは?制度の仕組みや有効期間・更新手続について詳しく解説』もご覧ください。
本人の身分が変化しても「在留資格の変更が必要ない」のもメリットといえます。
配偶者ビザは、あくまで日本人や永住者の「配偶者」であることが条件です。もし配偶者と死別したり離婚したりした場合、引き続き日本に留まるのであれば在留資格を変更しなければなりません。たとえば「技人国」などの就労ビザに変更する、といった具合です。
他の在留資格を取得するには、当然ながらその在留資格の申請要件を満たす必要があります。配偶者として日本で暮らしてきた方が他の在留資格の要件を満たすことは困難で、中には変更をあきらめて母国に帰国してしまう人も少なくありません。
もしあらかじめ永住ビザを取得していれば、こうした心配は不要です。たとえ配偶者と離別することがあっても、そのまま永住者として日本で暮らし続けることができます。
社会的信用度が上がるとは、具体的にはクレジットカードを作りやすくなったり、住宅ローンや事業者向けローンといった金融機関からの融資を受けやすくなるということです。
一般に、永住ビザを申請する際は「素行が善良である」「独立した生計を営む資産や技能がある」「日本国の利益になる」という3つの要件を満たすことが必要です。
しかし配偶者ビザから永住ビザを申請する場合、最初の二つは適用外となります。また三番目の要件についても一部の要件が緩和されます。ここでは「日本国の利益になる」とみなされる4つの要件について説明します。
一般的な永住ビザ申請では「引き続き10年以上の日本に在留し、そのうち5年以上は就労できる在留資格(就労ビザや身分系ビザ)である」ことが必要ですが、日本人や永住者の配偶者は「3年以上婚姻関係が継続」し、かつ「引き続き1年以上日本に在留」していれば要件を満たします。
なお婚姻関係は「実態を伴った」ものであるべきです。書類上は結婚しているものの、実際には別居しているといった婚姻では上記の要件を満たせません。また「引き続き在留」とは、途中で中長期にわたり(おおむね半年以上)日本を離れていないことを意味します。
罰金刑や懲役刑などの刑罰を受けていない(犯罪行為をしていない)ことと、納税義務や社会保険料の負担義務、出入国管理上の義務を果たしていることも重要な要件です。特に国民健康保険や国民年金の未納・滞納があるパターンでは、申請が不許可になるケースが多くなっています。
ちなみに社会保険料の納付状況は「過去2年間」にさかのぼって確認されるため、少なくとも申請の直近2年間については、しっかり納付を行っているかどうか確認が必要です。
配偶者ビザの在留期間は5年・3年・1年・6か月のいずれかです。このうち永住ビザの申請要件を満たすのは「5年」ですが、現時点では当面の措置として、「3年」でも「最長の在留期間」として扱うことになっています。
「公衆衛生上有害」となる人とは、具体的には感染症の患者や薬物の慢性中毒者です。加えて、いわゆる「ゴミ屋敷」に住んでいる人なども、公衆衛生上有害と見なされる可能性があります。
配偶者ビザから永住ビザを申請する手続は、基本的に他のビザから永住ビザを申請する場合と変わりません。ここでは配偶者ビザならではの注意点として、「必要書類」「申請理由書」「身元保証人」の3点について説明します。
参考記事:日本の永住ビザ取得は難しい?必要な条件と申請手続について解説
配偶者ビザの人が永住ビザ申請をするには、すべての申請人に共通する「基本書類」に加えて、配偶者ビザならではの「立証書類」等が必要です。
⑧身分関係を証明する資料…配偶者の戸籍謄本(全部事項証明書)、配偶者との婚姻証明書など
⑨申請人を含む家族全員の住民票
⑩申請人や扶養者の職業を証明する資料…在職証明書や確定申告書控えの写しなど
⑪過去3年分の申請人や扶養者の所得と納税状況を証明する資料
⑫過去2年分の申請人や扶養者の公的年金、公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料
⑬身元保証書と身元保証人についての資料
それぞれの詳しい内容については、出入国在留管理庁ホームページの『永住許可申請1』から確認できます。
申請理由書とは、文字通り永住ビザを申請する理由や動機を説明する書類です。配偶者ビザを持つ人の場合は他の申請人と違って「申請理由書」が必須とされていませんが、できれば用意したほうが良いでしょう。
申請理由書を追加で提出してもマイナス材料にはなりませんし、むしろ他の申請書類を補強するプラス材料として考慮される可能性もあります。
永住ビザの申請には「身元保証人」が必要です。身元保証人は誰でもなれるわけではありません。配偶者ビザの外国人が身元保証人を用意する場合は、特に以下の3点に注意する必要があります。
参考記事:出入国在留管理庁の手続きに必要な身元保証書とは?身元保証人についても解説
①配偶者が身元保証人になること
永住ビザの申請で身元保証人になれるのは「日本人」か「永住者」です。配偶者ビザを持つ外国人はこれらの人と結婚しているわけですから、その配偶者が身元保証人になるのが自然です。もし配偶者が身元保証人になれない、もしくは拒否している場合は「実態を伴った婚姻」が疑われるため、申請上不利になります。
②安定した収入がある
身元保証人には「安定した収入」が求められます。具体的な年収などは指定されていませんが、少なくとも「独立した生計」を営める程度の収入や財産を持っていることが望ましいでしょう。
③納税義務を果たしている
身元保証人も申請人と同様、納税義務を果たしていることが必要です。
ここでは配偶者ビザを持つ方から寄せられる「よくある質問」を紹介します。
他の在留資格から永住ビザを申請する場合は「素行が善良である」という要件を満たす必要があり、これには「交通違反などの違反行為をしていないこと」も含まれています。
一方、配偶者ビザからの永住ビザ申請には「素行が善良」要件は含まれませんが、だからといって違反行為があっても問題ないと考えるのは早計です。配偶者ビザの方にも「日本国の利益になる」ことが求められるため、悪質な違反行為などがあれば、審査の際に不利な材料となる可能性があります。
「独立した生計を営む資産や技能がある」という要件も配偶者ビザの人には適用されません。ただし申請書類の中には「過去3年分の申請人や扶養者の所得と納税状況を証明する資料」も含まれるため、審査の際には本人の収入も判断材料のひとつになります。
特に配偶者が専業主婦(主夫)で世帯収入の大半を申請人が担っている場合、本人の収入は重要な要件となるでしょう。
永住ビザの申請要件には「引き続き日本に在留」していることが含まれます。おおむね半年程度以上にわたり日本を離れている人は「引き続き」の要件を満たせないと思われますが、その他にも「渡航回数が多い」こともマイナスの判断材料になるといわれています。
何らかの事情でやむを得ず里帰りが多くなった場合は、申請理由書などで事情を説明する必要があるでしょう。
育児や出産と永住ビザの申請は、直接的には関係ありません。ただし育児休暇や産休によって本人の収入(世帯収入)が大きく減る場合は要注意です。審査でマイナス材料になるほど極端な収入減がある場合は、申請のタイミングをある程度ずらした方が良いかもしれません。
今回は「配偶者ビザ」を持つ方が永住ビザを申請するメリットをはじめ、各種要件や必要書類、注意点などについて説明しました。永住ビザの取得を考えている日本人や永住者の配偶者は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
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