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日本国内で日本国籍を離脱した人や日本で出生した赤ちゃんなど、在留資格がないまま日本に在留している外国人は「在留資格取得許可」の申請が必要です。この記事では在留資格取得許可をテーマに詳しい内容と要件について説明していきます。

在留資格取得許可とは

日本国籍を持たない外国人は、原則として何らかの在留資格がなければ日本に入国(上陸)できません。しかし日本国内で日本国籍から離脱した人や、日本で生まれた外国人の子供などは、結果的に在留資格がないまま日本に在留しています。

在留資格取得許可の申請とは、そうした「在留資格を持たないまま日本に在留する外国人」が「60日を超えて日本に留まる」際に必要となる手続きです(60日以内に日本を出国する場合、在留資格は必要ありません)。

 

在留資格取得許可申請が必要なケース

在留資格取得許可を申請する必要がある外国人(在留資格の取得手続きをしないまま日本に在留している外国人)には、大きく分けて3つのパターンがあります。

日本国籍を離脱した方

一つ目のパターンは「日本国籍からの離脱」です。たとえば自分の意思で外国籍を取得した場合などがこれにあたります。日本では二重国籍が認められないため、外国籍を取得すると引き換えに日本国籍を放棄する必要があるからです。

また「2つの国籍を持つ子供」も、日本国籍の離脱でよくあるパターンです。子供が2つの国籍を持つ理由としては、主に以下の5通りがあります。

 

①母親が日本国籍、父親が「父系優先血統主義」(父親が自国民なら子供にも国籍を与える)の国籍

②両親の一方が日本国籍、もう一方が「父母両系血統主義」(片親が自国民なら子供にも国籍を与える)の国籍

③両親か片親が日本国籍、生まれた場所が「生地主義」(自国内で生まれた子供に国籍を与える)の国

④父親からの認知

⑤外国人との養子縁組 ※相手国の法律によります

このような場合、二重国籍になったタイミングが20歳に達する前であれば「22歳まで」に、20歳以後であれば「2年以内」に、どちらかの国籍を選択しないといけません。もちろん日本国内に在留したまま外国籍を選んだ場合は「在留資格取得許可」の対象となります。

 

外国人の赤ちゃん

外国人の夫婦が日本で子供を出産すると、その子供もまた外国籍になります(日本は「生地主義」を採用していないため)。この場合、赤ちゃんは生まれた時点から「在留資格がないまま日本に在留している」状態です。両親の在留資格は子供に適用されないため、60日を超えて日本に在留するなら「在留資格取得許可」が必要になります。

なお両親の一方が日本人であれば子供にも日本国籍が与えられるため(日本は「父母両系血統主義」を採用)、特別な手続きは必要ありません。また両親か片親が永住者なら、「永住許可申請」を行うことで子供にも永住者の資格が与えられます。

 

その他の事由

その他の事由とは、主にアメリカ軍関係の話です。日米地位協定(SOFA:Japan Status Of Forces Agreement)によって日本に在留するアメリカ軍人とその家族、および軍属は、入管法による上陸審査を受ける必要がありません。

そのような人たちが「協定上の地位を失ったとき」、つまり日本国内で退役したり、何らかの理由で軍籍を離脱した場合は在留資格を持たずに日本に在留している状態となります。ちなみに元米軍関係者が引き続き60日以上日本に留まる理由として考えられるのは、主に以下のようなケースです。

  • 日本国内の企業に就職する
  • 日本国内で起業する
  • 日本国内で芸術活動や宗教活動を行う
  • 日本人と結婚する

いずれの理由にしても、それぞれの活動に見合った在留資格が必要になるため「在留資格取得許可」を申請しなくてはなりません。

 

在留資格取得許可の要件

在留資格取得許可を申請するには、まず申請者(外国人)が申請しようとする在留資格の要件を満たす必要があります。具体的には「日本の企業と雇用契約を結ぶ」「日本人との婚姻手続きを行う」といった具合です。

必要な要件は在留資格ごとに異なるため、詳しくは出入国在留管理庁のWebサイトか窓口で確認することをおすすめします。

 

在留資格取得許可を申請する

必要な要件をきちんと満たしていれば、在留資格取得許可の申請は決して難しくありません。

申請できる方

在留資格取得許可を申請できるのは以下の人たちです。

  • 申請人本人(日本での滞在を希望している外国人本人)
  • 申請人本人の法定代理人
  • 申請人が経営している機関または雇用されている機関の職員
  • 申請人が研修または教育を受けている機関の職員
  • 外国人が行う技能、技術又は知識を修得する活動の監理を行う団体
  • 外国人の円滑な受入れを図ることを目的とする公益法人の職員
  • 取次者として届出をしている行政書士など
  • 申請人の親族または同居者(申請人が16歳未満、もしくは自ら出頭できない事情がある場合)
 

申請に必要な書類

以下に挙げるのは基本的な申請書類です。申請時の書類は申請人の状況によって異なるため、あらかじめ専門家や出入国在留管理庁の窓口などに相談することをおすすめします。

 

①日本国籍を離脱した方の場合

  • 在留資格取得許可申請書
  • 写真
  • 国籍を証する書類
  • 日本での活動内容に応じた資料
  • 旅券(提示・旅券を提示することができないときは、その理由を記載した理由書)
  • 身分証明書など(申請取次者が書類を提出する場合)

 

②外国人の赤ちゃんの場合

  • 在留資格取得許可申請書
  • 出生したことを証する書類
  • 両親の情報を記載した質問書
  • 世帯全員の住民票
  • 旅券(提示・旅券を提示することができないときは、その理由を記載した理由書)
  • 身分証明書など(申請取次者が書類を提出する場合)

 

③その他の事由の場合

  • 在留資格取得許可申請書
  • 写真
  • 事由を証する書類
  • 日本での活動内容に応じた資料
  • 旅券(提示・旅券を提示することができないときは、その理由を記載した理由書)
  • 身分を証する文書等の提示(申請取次者が申請を提出する場合)
 

申請先

在留資格取得許可の申請先は、申請者の「住居地を管轄する地方出入国在留管理官署」か「外国人在留総合インフォメーションセンター」です。

手数料

手数料は無料です。

申請期限

申請期限は「在留資格取得が必要になったときから30日以内」です。

なお「外国人の赤ちゃん」の場合は、先に市区町村役場で出生届の提出(出生から14日以内)をしたり、大使館・領事館等でパスポートの申請手続き(在留資格取得許可申請の後でも可)をする必要があるため、慌ただしい手続きとなります。

 

審査期間

標準的な審査期間は「在留資格取得が必要になったときから60日以内」です。他の申請と比べて手続きのスピードが早く、即日処理となるケースもあります。

在留カードの受領者について

在留資格取得許可を受けた場合「在留カード」が発行されます。在留カードを受け取ることができるのは、上に挙げた「申請できる方」と」同じ人たちです。

在留資格取得許可を受けない場合の罰則

在留資格取得許可を受けないまま60日を超えて在留し続けるとオーバーステイ(不法在留)となります。この場合は「強制退去」の対象となり、さらに「3年以下の懲役もしくは禁錮」「300万円以下の罰金」という刑事罰を受ける可能性もあるため注意が必要です。

まとめ

今回は在留資格取得許可について、詳しい内容と対象となる外国人、申請の要件などについて説明しました。実際に在留資格取得許可申請を行う際は、この記事を参考にしつつ、出入国在留管理庁や専門家にも相談しながらミスのない手続きを目指してください。

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富樫 眞一
資格

2003年 技術士(環境部門)登録
2003年 薬学博士号登録

2019年 行政書士登録

2019年 入国管理局申請取次行政書士登録

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