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日本に在留している外国人の中には、短期間の里帰りなどなんらかの事情で一時的に日本を離れる人も少なくありません。今回はそのようなときに利用する「再入国許可申請」について、制度の仕組みや必要な手続きについて説明していきます。

再入国許可申請とは?

再入国許可申請とは、一時的に日本を離れる外国人の「再入国」手続きを簡略化する申請手続きです。

外国人が何の手続きもないまま日本を出国すると、その時点で所持している在留資格や残りの在留期間は消滅してしまいます。しかし本国への里帰りや出張、旅行など出国が一時的なものである場合、再入国のたびにいちいち在留資格を申請するのは大きな手間です。

一方であらかじめ再入国許可申請をしておけば、出国から再入国まで在留資格(および在留期間)が継続するとみなされます。もちろん再入国時に新たな在留資格を申請する必要もありません。

 

再入国許可の種類

再入国許可には「一回限り」と「数次」の2種類があります。

  • 一回限りの再入国許可:出国後、一回だけ再入国可能
  • 数次の再入国許可:有効期間内なら何度でも再入国可能

ちなみに数次の再入国許可については入管法第26条の中で「その者の申請に基づき、相当と認めるとき」に許可できる、とされています。

 

再入国許可申請の手続き

再入国許可申請の手続きは、一般的な在留許可申請と比べて比較的簡単です。

申請対象者

再入国許可申請を行えるのは以下の人たちです。

  • 出国しようとする外国人本人
  • 外国人本人が所属する機関や団体の職員、外国人のサポートを行う団体の職員、旅行業者など※
  • 弁護士や行政書士※
  • 外国人本人の法定代理人
  • その他、地方出入国在留管理局長が適当と認める者

なお外国人本人の依頼を受けて申請を行う機関や団体、旅行会社、弁護士、行政書士は、あらかじめ「申請取次者」の承認を受けておく必要があります。

 

必要書類

再入国許可申請に必要な書類は以下の通りです。

  • 再入国許可申請書(法務省webサイトからダウンロードできます)
  • 在留カードまたは特別永住者証明書(中長期在留者や特別永住者の場合)
  • パスポート
  • 身分を証明する文書等(申請取次者が申請する場合)
 

申請の流れ

再入国許可申請の流れは以下の3ステップです。

①再入国許可申請書に記入する

②住居地を管轄する地方出入国在留管理官署で申請を行う

③(許可の場合)申請手数料を印紙で納入する

なお②の申請手続きは、出国の前日までに行わなくてはなりません。

 

審査期間

再入国許可申請の審査期間は非常に短く、申請日当日に結果が通知されます。

手数料

再入国許可を受けた場合、以下の手数料を印紙で納入します。

  • 一回限りの再入国許可:3,000円
  • 数次の再入国許可:6,000円
 

行政書士の報酬について

再入国許可申請の手続きを行政書士に依頼する場合、上記の手数料のほかに行政書士へ支払う報酬が発生します。報酬金額は事務所によって幅がありますが、おおむね2万円前後が相場です。

金額こそ手数料の数倍ですが、依頼することで本人が窓口に出頭する必要が省けたり、書類に記入する手間がなくなるため、特に忙しい方にとっては利用価値が大きいといえるでしょう。

 

再入国許可申請の審査ポイント

再入国許可申請では、以下の点を考慮して許可の可否が決定されます。

  • 現在「収容令書」の発付を受けていない(退去強制手続き中でない)こと
  • 現在の在留資格の活動が継続中であること
  • その他「再入国許可が適当でない者」と認められないこと
 

再入国許可の有効期間

再入国許可の有効期間は「最長5年(特別永住者は6年)」です。ただしその間に現在の在留資格の期限が満了する場合は、再入国許可の有効期間もそこまでになります。

有効期間の延長について

天災や病気など、やむを得ない理由で有効期間内に日本へ再入国できない場合jは有効期間の延長が可能です。

延長できる期間は最大1年ですが、元の再入国許可を受けた日から6年(特別永住者は7年)を越える延長や、現在の在留資格の期限を越える延長はできません。

 

みなし再入国許可とは?

緊急な用事でごく短期間(たとえば数日間)出国するような場合は、通常の再入国許可の手続きすら煩雑に感じられるものです。また在留外国人の急増に伴い、近年では出入国在留管理庁の負担も増えています。そのような関係者全員の負担を軽減するのが「みなし再入国許可」の制度です。

みなし再入国許可を受けた外国人は、通常の再入国許可を受けなくても、出国から再入国まで在留資格(および在留期間)の継続が認められます。

 

みなし再入国許可の対象者

みなし再入国許可の対象となるのは、有効期間が3か月を超える在留資格を持ち、出国から1年以内(特別永住者の場合は2年以内)に日本に再入国する外国人です。

ただし在留資格が「短期滞在」の外国人は、みなし再入国許可の対象とはなりません。また以下のような外国人も、みなし再入国許可を受けられません。

  • 在留資格取消し手続き中の人
  • 逮捕や裁判の手続き中で国外逃亡のおそれがある人
  • 入管法違反で収容令書の発付を受けている人
  • 難民認定申請のため「特定活動」の在留資格で滞在している人
  • その他、法務大臣から「日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがある」等と認定された人
 

みなし再入国許可申請の流れ

みなし再入国許可申請は、出国当日に空港や港で行います。申請の流れは以下の通りです。

①空港や港で「再入国出国用EDカード」を受け取る

②カードの「みなし再入国許可による出国を希望する」という欄にチェックを入れる

③パスポートと一緒に出国審査官に渡し、「みなし再入国を希望する」と伝える(出国審査時)

※中長期在留者は、出国審査時に在留カードも持参する

手数料は必要ありません。

 

みなし再入国許可の有効期間

みなし再入国許可の有効期間は「出国日から1年(特別永住者は2年)」です。ただし1年以内に在留資格の期限が満了する場合は、その満了日までとなります。

みなし再入国許可は通常の再入国許可と違い、延長ができません。もし出国中に1年以上経過してしまった場合は、もう一度在留資格の取得手続きが必要です。

 

まとめ

今回は、外国人が一時的に出国する際に利用できる「再入国許可申請」の手続きと「みなし再入国許可」について説明しました。どちらも簡単な手続きですが、審査のポイントと有効期間には注意が必要です。日本からの一時出国を予定している方は、ぜひこの記事を参考にしながらスムーズな手続きを目指してください 。

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富樫 眞一
資格

2003年 技術士(環境部門)登録
2003年 薬学博士号登録

2019年 行政書士登録

2019年 入国管理局申請取次行政書士登録

2020年 特定行政書士登録

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